有馬温泉は、日本最古の温泉として知られています。
その起源には数々の伝説が残されており、古代から人々に愛されてきた歴史があります。
古代の王族や武将たちもその効能に魅了され、多くの人々がこの温泉で癒しと健康を求めて訪れました。
有馬温泉の歴史は、その神秘的な起源から始まり、今もなおその魅力を持ち続けています。
今回は、その歴史と起源をご紹介しますね。
有馬温泉の起源と伝説
有馬温泉の起源には、古くから伝わるいくつかの伝説が存在します。
その中でも代表的な伝説は、「伊弉諾尊（いざなぎのみこと）と伊弉冉尊（いざなみのみこと）」という神話に関連しています。
「伊弉諾尊（いざなぎのみこと）と伊弉冉尊（いざなみのみこと）」は、日本神話における神様の一対で、有馬温泉の起源に深く関わっています。
伊弉諾尊（いざなぎのみこと）は男神（太陽神）であり、伊弉冉尊（いざなみのみこと）は女神（月神）です。
彼らは天照大御神（あまてらすおおみかみ）の子供であり、日本神話における創造神であるイザナギとイザナミの子供たちとしても知られています。
有馬温泉の伝説によれば、天照大御神が岩戸に隠れた際、伊弉諾尊（いざなぎのみこと）が有馬に降臨しました。
彼は湯治の力によって身体を浄め、有馬温泉の源泉を生み出したと伝えられています。
この伝説は、有馬温泉が神聖な場所であることを象徴しています。
伊弉諾尊（いざなぎのみこと）と伊弉冉尊（いざなみのみこと）は、日本の古代信仰や神話において重要な存在であり、自然とのつながりや健康・浄化の象徴として崇められてきました。
彼らの伝説は、有馬温泉の歴史と特別な地位を裏付ける要素となっています。
有馬温泉を再度発展に向けた行基
「有馬温泉史話」によれば、かつて舒明天皇と孝徳天皇が有馬温泉を頻繁に訪れたことで、この場所は名声を得ました。
しかし、時間が経つにつれて、温泉の評価は徐々に落ちていったとされています。
この温泉の再評価と発展の基盤を築いたのが高名な行基でした。
行基は、聖武天皇から信頼されており、彼の主な業績には池や橋の建設、お堂の築造などが挙げられます。
ある日、今の兵庫県伊丹で活動していた行基は、ある男性に出会いました。
その男性は体調の不調を訴え、有馬の温泉の効能を求めて行基に助けを求めました。
行基は彼の願いに応える途中、その男性が神秘的な存在に変わり、温泉を再生させるよう要求して消えてしまいました。
感銘を受けた行基は、その場所で経文を記し、立派な仏像を刻み、堂を建設しました。
この出来事は、行基が有馬温泉の発展のために尽力したという証となっています。
そして、彼の貢献によって、約370年の間、有馬は多くの人々で賑わったとされています。
平安時代になると、多くの文献や歴史に有馬温泉の名前が登場するようになりました。
多くの著名人や貴族たちが訪れ、清少納言の著作にもその名前が見られます。
有馬温泉は、当時の有名な温泉地としての地位を確立していたことが伺えます。
有馬温泉を再建した仁西
時が過ぎ、承徳元年（1097）に、天災が有馬地域を襲撃しました。
「温泉寺縁記」によれば、「堀川の君主の時代、大洪水が有馬を襲い、多くの家や温泉が被害を受けた」との記録が残っています。
多くの見解は存在しますが、この大きな災害後、95年間、有馬はほぼ荒廃していたと言われています。
この地域を再生させたのは仁西という僧で、平家が敗れた後、奈良県の吉野から訪れ、有馬の再建に成功しました。
仁西は吉野の高原寺の住職で、ある日、熊野で神託を受け、「有馬の温泉を再建せよ」という指示を受けました。
しかし、有馬への正確な場所は分からず、再び神託を求めたところ、「庭に出現する蜘蛛の糸を追え」との示唆を得ました。
翌日、庭を訪れ、その指示通りに行動した仁西は、旅の途中で途方に暮れた際、一人の老人に出会い、特定の場所を示唆されました。
この場所がかつて行基が開いた温泉地だったのです。
仁西は地域の住民を呼び寄せ、100年の時を経て温泉を復興させました。
さらに、仁西は温泉寺を修復し、複数の宿坊を設けました。
これは鎌倉幕府の成立よりも前、建久2年（1191）の出来事と伝えられています。
これらの宿坊は、仁西が吉野から連れてきた一族や平家の生き残りによって管理されていたと言われています。
現在、有馬地域で「坊」と名のつく宿が多く存在するのは、この時期の影響を受けた、またはそれに因んで命名された名残だと考えられています。
更なる復興・再建を果たす秀吉
その後も平穏な日が続いたが、室町時代から戦国時代の混沌とした時代にも関わらず、訪れる人々の数は変わらず、社会の動揺が有馬の成功に大きな影響を及ぼすことはありませんでした。
仁西の有馬温泉再生から数世紀後、再び困難な時代が訪れ、1528年には大規模な火災が発生し、町は大打撃を受けました。
1545年と1576年にも再び火災が発生し、有馬は相次ぐ災害から立ち直ることができませんでした。
一方、明智光秀らの軍勢を打ち負かし、多くの領主を制した1583年、豊臣秀吉は有馬を訪れ、この地の名高い温泉で疲労を癒やすことを選びました。
これが記録上、秀吉が有馬温泉を訪れた初めての出来事で、その後も彼は有馬を訪れ、地域を支援し続けました。
特に注目すべきは、1597年に開始された大きな修復工事で、その背景には前年の大きな地震があり、温泉の温度が急激に上昇するなどの問題が発生しました。
太閤秀吉はこの問題を解決するために大胆な改修工事を行うことを決定しました。
この修復工事以降、有馬（明治時代に名前が変更されました）は350年以上にわたり泉源の修復工事を行っていないことから、秀吉の果断な判断が有馬の後の繁栄に非常に大きな影響を与えたことが明らかです。
しかし、彼が行った改修工事の成果を直接見ることはできず、悪天候による入浴のキャンセルの後、彼は短期間で亡くなりました。
栄華な江戸時代
江戸時代に入ると、有馬はより一層の繁栄を迎え、当時の有馬は幕府に直接統制されていました。
しかし、その時期、各宿泊施設には温泉が備えられているわけではなく、町中には主要な温泉源が一つだけ存在し、訪れる人々はその一カ所で湯治を楽しんでいました。
温泉の出る量はそこまで豊富ではなかったものの、過去の名物である秀吉の入浴や泉源の大幅な修復により、有馬温泉の評価は上がり、多くの人々が訪れるようになりました。
当時の温泉の様子を振り返ると、現代のそれとは大きく異なっていました。
主要な温泉源の施設は、大きさとしては南北に七間、東西に三間程度の建物が一つしかなく、中にあった浴槽も小さなものでした。
この浴槽は南側が「一の湯」として、北側が「二の湯」として知られていました。
深さもそれほど深くなく、伝承によれば三尺七、八寸程度だったと言われています。
仁西により創設された12の宿坊は、秀吉の大規模な改修後、20の宿坊に増加し、宿としての機能を果たしていました。
そして、一の湯と二の湯の使用が坊ごとにきちんと分けられており、それぞれの坊には2人の湯女が配されていました。
その後、湯治客の数が増えるにつれ、新たな宿泊施設が増設されるようになりました。
江戸時代が進むと、一般の人々も旅行や湯治を楽しむようになりました。その旅をサポートしたのが道しるべで、有馬温泉の町にも今でも多くの道しるべが見受けられます。
有馬温泉の歴史的な重要性
有馬温泉は、日本最古の温泉地としても知られており、その歴史は古く、紀元前から存在していたといわれています。
その歴史的な重要性は以下の点で見ることができます。
温泉文化の形成
有馬温泉は、日本における温泉文化の形成に大きな影響を与えた地として位置づけられています。
温泉を利用した入浴や湯治の習慣が広まり、温泉地としての文化や風習が発展していきました。
歴代の名だたる人々の訪問
有馬温泉は歴代の皇族や貴族、文人、武将、政治家など多くの著名人が訪れた場所でもあります。
伝説的な戦国武将だと、上にも挙げた豊臣秀吉や徳川家康が訪れています。
明治時代の文豪・夏目漱石、そして昭和の天皇・皇后など、数々の偉人や著名人が有馬温泉を訪れました。
政治家は、小泉純一郎元首相、麻生太郎元首相、中曽根康弘元首相などが有馬温泉でリラックスしたとの報道もありますね。
彼らの訪問によって有馬温泉の名声は高まり、その存在が広く知られるようになりました。
温泉地としての発展
有馬温泉は歴史を重ねながら、温泉地としての発展を遂げてきました。
古くから多くの人々が訪れ、その効能や泉質が評価され、観光地として発展してきました。
今日では日本有数の名湯として知られ、国内外から多くの人々が訪れる観光スポットとなっています。
まとめ
今回は、有馬温泉の歴史と起源をご紹介しました。
歴史を体感しに、ぜひ有馬温泉へ足を運んでみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
